人間関係をラクにしてくれる“アドラー心理学”

「心理学の3大巨頭」と呼ばれながらも、日本ではあまり注目されてこなかった心理学者・アドラーの本が、現在脚光を浴びています。

心理学を学べば過去の心の傷が癒され、うまく人付き合いができるようになるなどのイメージを覆すのが、アドラー心理学の考え方です。

どうにもならないと思いがちな現実を動かすその考えは、どのような理由によるものなのでしょうか。

 

☆他者から嫌われる勇気を持とう

 

アドラーの著作のタイトルでもある「嫌われる勇気」を持つのは大変で、トラブルを生むだけのような感じがします。

しかしアドラー心理学は、嫌な人間になれといっているのではありません。

自分が自分らしく生きるために、自分自身を大切にし、人の顔色をうかがうのはやめるというのが、その考えです。

アドラー心理学では、起こる悩みはすべて、人間関係から発生するのだとしています。

他人との関わりから出てくる問題なので、自分が解決しなければならない課題と、相手がどうにかしなければならない課題がその中には含まれています。

自分の課題だけを引き受け、相手の課題は相手に任せてしまうのが、アドラー心理学のやり方です。

自分の譲れない部分は何かというのを自分で見きわめて、相手の譲れない部分には踏み込みません。

だから「嫌われる」といいながらも、本当は自分と相手を大切にする心理学なのです。

 

☆自分の価値観をはっきり伝えよう!

 

嫌われる勇気をふるうためには、自分はこれだけは譲れないのだというポイントを、はっきりさせてから相手に伝えなければなりません。

自分の価値観がゆらいでいれば、そもそも決めることができずに状況に流されるままです。

そして価値観をわかってもらわなければ、どんな対処もできないからです。

例えば、あるサークルに誘われたとします。

周りの人みんなが参加しているサークルで、自分が断ったら、誘った人や周りの人の気を悪くさせるのではないかと考えたとしましょう。

しかし、自分にはその時間にもっとやりたいことがある、サークルの内容に興味が持てないなどの理由があるなら、素直に告げて断るほうが、結局は良いのだというのがアドラー心理学です。

いやいやながら通っても、そういうのは周りに伝わるものだし、気乗りしないのにサークルを続ける自分に、自己嫌悪を感じて責めることもあるかもしれません。

自分の価値観を告げることは、自分がこういう人間だとわかってもらうことです。

ただし、それを押し付けてはいけません。サークルに入りたくないのと、サークルを否定することは別物だからです。

 

☆他人と自分を比較せずに、評価も気にしない

 

サークル加入を断ったあとで、相手や周りがどう考えているかと、くよくよ悩んでは元も子もありません。

アドラー心理学では、サークルに入るか断るかを決めるのは自分の課題ですが、その答えを受けてどう感じ考えるかは、相手の課題であって踏み込めないものだからです。

世界の人すべてと友達になることができないように、価値観や相性の合わない人は絶対にいます。

それはお互いにどうしようもないことです。

だから、自分の価値観に従って決めて素直に告げたなら、あとは相手に任せるのです。

相手に良い印象を持ってもらいたいというのは、相手から「良い評価」という見返りがほしいと思っているということです。

しかしサークルに加入したからといって、良い印象を持たれるという保証はないのです。

逆に断ったからといって、悪印象を持たれるとは限りません。

得られるかどうかわからない「良い評価」がほしいという考えを捨てられれば、「サークルに入っていないから」と入っている人と比較して、他人の顔色をうかがうこともなくなります。

アドラー心理学とは、心の中で整理をつけて自分の課題をきちんと片付けていれば、周りの人と楽に付き合えるようになり、人生がシンプルで簡単なものになるのだと、さし示してくれる考え方です。