「出世は意味がない」と考える若い世代の割合が増えてきているといわれています。
なぜ出世についてあまり積極的ではないのかというのは、様々な理由から成り立っています。
それは、先輩や親の世代の話や状況を見て感じることもあるでしょうし、単に自分の自由な時間をできるだけ確保したいという考えであることもあります。
☆責任と給料が比例しない出世はコスパが悪い?
会社の給与体系によっては、出世はコスパが悪いと感じることもあるでしょう。
例えば、年功序列制度が残る職場では勤務年数によって給与が上がっていき、出世についてもある程度は同期と横並びになります。
そのため、出世したとしても給与は上がりますが、仕事量が増加し、業務内容、責任や権限が自分のやりたいことと合わなくてストレスになったりする場合には、割にあわないと思うこともあります。
従来の日本企業は殆どがこの制度だったため、選択肢がなかったのです。
成果報酬制度を導入している職場においては、出世をしなくても自分がその分野で成果をあげていれば給与は増えていきます。
そのため、自分の好きな仕事に集中したい、出世はその次と考える人にとっては、出世は意味がないと感じることもあるのではないでしょうか。
さらに、出世して給与と役職が上がったとしても、外資系の企業だけでなく、日本企業でも給与の高い社員がリストラの対象になることは珍しいことではありません。
親の世代をみて、若い世代は出世したとしても、それほどメリットが感じられないと思うこともあるのではないでしょうか。
☆出世しなくてもいい若者が52.4%という事実
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2016年5月6日に公表した2016(平成 28)年度 新入社員意識調査アンケート結果によると、将来出世したいかという問いに対して47.6%が出世したいと回答しました。
一方で、出世しなくても好きな仕事を楽しくしたいと回答した人は52.4%にのぼり、出世をしたいと考える人よりも多い結果となりました。
アンケートからは、仕事に対する意欲や競争を受け入れる若者がそれなりに多いのにもかかわらず、なぜこれほど多くの新入社員が出世にこだわらないのかが気になるところです。
さらに、出世が意味ないと考えてしまうに至る理由は、それぞれの新入社員が出世に対してどのようなイメージをもっているか、仕事に何を求めるかで異なってくるのではないでしょうか。
この新入社員意識調査アンケートで、今の仕事で幅広く色々な仕事をマスターしたいか、それとも1つの仕事に習熟してエキスパートになりたいのかという質問に対して、幅広く色々な仕事をマスターしたいと答えた人が58.0%、1つの仕事に習熟してエキスパートになりたいと答えた人は42.0%となり、ゼネラリストとして仕事をするイメージを新入社員がもっているということも、出世にそれほどこだわらない理由である可能性があるといえます。
☆ワークライフバランス重視が出世を妨げる?
ワークライフバランスという言葉を最近よく耳にするようになりましたが、仕事もしっかりしつつ、プライベートの時間も十分確保したいという考え方について、今の若い世代はどのように捉えているのでしょうか。
新入社員意識調査アンケートでは、残業が多くても給料が増えるのだからよいと回答した人は37.6%、給料が増えなくても残業はないほうがよいと回答した人は62.4%という結果になりました。
この結果から最近の新入社員は残業に対してはそれほど積極的ではなく、ワークライフバランスの充実を重視するという傾向がうかがえます。
ワークライフバランスを重視すると出世を妨げるかどうかは、会社の方針やどのような仕事に就くかで異なってくるのではないでしょうか。