ベストセラーの“アドラー心理学”とはどんなもの?

心理学といえば、フロイトやユングがメジャーどころとして思い浮かびます。

しかしフロイトやユングと並び立つとされる、アドラーという心理学者の考え方が、現在注目されてきています。

アドラー心理学は、どんな行動や思考の指針を示してくれるのでしょうか。

 

☆アドラーの体験から導かれた心理学である

 

アドラー心理学の創始者であるアルフレッド・アドラーは、1870年にオーストリアで生まれました。

幼いころは体が弱く、声帯がけいれんするという病にも苦しみ、さらに弟を病気で亡くします。

そのような幼少期を過ごしたために、医者になることを決意しました。

最初に持った診療所は遊園地の近くにあって、遊園地に勤務する芸人や軽業師の診察をよく行うことになります。

そこで出会った患者たちは、もともと身体的に弱い部分があったのを克服したり生かしたりして、仕事をしていました。

アドラー自身も、病弱な体や発声の問題を乗り越えていたので、その経験がアドラー心理学の元となっていったのです。

アドラー心理学では、個人はそれ以上分けることができない「個人」という要素と考えます。

そして何かトラブルが起きた場合には、その原因を探すのではなく、「個人」がその問題とどのような関わりを持っているかを考察するのです。

動かない過去を思って悩むのではなく、現在をどう動かしていくかが未来につながるという考えです。

 

☆アドラー心理学の5要素とは

 

アドラー心理学を説明する要素は5つあります。

自己決定性、目的論、全体論、認知論、対人関係論です。

自己決定性とは、どんな状況にあっても、自分の行動は自分で決めるもので、決められるということです。

目的論は、起こっている状況は自然発生したのではなくて、何かの目的があって「自分が起こしている」のだということです。

全体論は、個人は分けられない「個人」という要素であり、無意識や感情などと個人を細かく分割せずに、連動した一体のものとして考えるものです。

認知論は、起きたできごとを、人はただそのまま受け取っているのではなく、自分というフィルターを通して理解しているということです。

そして対人関係論は、個人の起こす行動はすべて対人関係に関わるものであるというものです。

この「対人」には、他人だけでなく自分自身も含まれます。

 

☆アドラー心理学はここだけは抑えておこう!

 

では具体的に、アドラー心理学を日常で生かすためにはどのように考えれば良いのでしょうか。

アドラー心理学では、トラブルは対人関係によって起きるものとされます。

そこで、起きた問題の中には自分が解決しなければならないものと、相手が引き受けるべき問題が混じっているのです。

例えば、自分がよかれと思って指図しても、子供がいうことを聞いてくれないということは家庭でよく起こります。

しかし「いうことを聞かない」は子供がどうにかしなければならない問題であって、自分の問題は「そのためにいらいらする」といった事柄になるのです。

これをアドラー心理学では「課題の分離」と呼びます。

そしてその指図が、「自分の子が他の子より劣って見えるのではないか」という劣等感から来ているとします。

劣等感は、アドラー心理学では理想に到達していないという焦りのようなものなのです。

だからその焦りは、向上心につなげることができます。

また、アドラー心理学では「共同体感覚」というものを重視します。

人は共同体の一員であり、協力して生きて、自分の居場所を得るといった考え方です。

そのためには、他人を信じ、助けながら、自分自身のこともありのままに認めるというバランスが大事になってきます。

子供のことが気になって口うるさくいわずにいられない自分をひとまず認めながらも、なぜそんなに焦るのかを考え、子どものペースや個性を見守ってあげる気持ちの余裕など、アドラー心理学を知れば、状況からいろいろな事柄が引き出せます。

アドラー心理学とは、トラブルをシンプルに整理して、自分が努力しなければならない部分を、そうでない部分から浮かび上がらせるという、自分と他人が楽に生きられるようになる考え方です。

合わせて、状況を変化させたいと感じているなら、自分の行動で変えることが可能なのだと解説してくれています。