アドラー心理学入門編として

近ごろ何かと話題のアドラー心理学。

生きづらい世の中を生き抜く術を、主に対人関係にまつわる心理学を用いながら、さまざまな悩みを抱える現代人に提示しています。

アドラー心理学を聞いたことがある人もない人も、それがどういう性質を持ちどんな悩みの解決に役立つのか、気になるところですよね。

今回はアドラー心理学の入門編として、そのイロハを解説してみたいと思います。

 

☆人間の幸せとは何か?

 

アドラー心理学においては、幸福の3原則というものを用いて、人間の幸せについて解説しています。

すなわち、「自分が好き」「他人を信頼できる」「社会や世の中に貢献している」という3つの要素が結合したとき、人間は幸せな状態になれると説いているのです。

まず一つ目の「自分が好き」という項目においては、自己否定が不幸のきっかけになるという考えに基づき、たとえ社会に貢献し他人を信頼できていたとしても、自分が嫌いというのでは幸福になれないとアドラー心理学は考えます。

ゆえにどれほど仕事ができ、家庭が円満であったとしても、それだけでは幸福の条件に当てはまらず、まずは自分を好きになるという前提が必要だと説くのです。

その上で、二つ目の「他人を信頼できる」という項目が成立しているかどうかを重視します。

「自分が好き」というだけでは、悩み事や苦しい事もすべて自分で抱えてしまうことになるでしょう。

他人を十分に信頼できていれば、自分だけという孤独の中から脱却でき、物事の解決の幅も広がって、幸福に足を踏み入れられると考えるのです。

三つ目の「社会や世の中に貢献している」という項目は、つまり一種の生きがいについての問題です。

すべてのことを他人任せにして、自分のするべきことを放棄すれば、何のために生きているのかわからなくなってしまいます。

自分が社会や世の中に役に立っていると自覚できて初めて、そこに生きがいが生まれ、本当の意味での幸福になれるのです。

 

☆人は何のために生きているのか?

 

アドラー心理学によれば、人間は共同体の中で自分の存在価値を見出すために生きていると説いています。

人間は常に対人関係の中にあります。

その対人関係の中において、自分の存在意義や存在価値を感じることができなければ、人間はすなわち幸福にはなれません。

人間が持つあらゆる悩みはこうした対人関係の中にあり、その悩みを解決することが共同体における自己肯定につながり、ひいては自身の存在意義を実感することに直結するからです。

こうした共同体という意識のことを、アドラー心理学では共同体感覚と呼んでいます。

この共同体感覚の考え方は、前述した人間の幸福論に通じ、すなわち他者を信頼し、社会に貢献して、かつ自己を肯定するということを意味しています。

こうした共同体感覚を練磨し、共同体における自分の存在価値を見出すことができれば、人間は真の意味での幸福に到達することができ、何のために生きているのかという悩みを満たすことができるのです。

 

☆人間関係を円滑にするためには?

 

アドラー心理学では、人間関係の悩みがすべての悩みに直結すると考えています。

たとえばお金の悩みでも、結局はお金がないことで他人に迷惑を与えるという悩みにつながり、病気の悩みでも、自分の身体が弱っていることで家族や仲間に辛い思いをさせると考えるものです。

このように、すべての悩みは人間関係の悩みに直結し、人間関係を円滑にすることができればあらゆる悩みを解決することにつながります。

そこでまず、どうすれば人間関係を円滑にできるかということが問題になります。

人間関係が悩み多きものであれば、それを円滑にすることも難しいことに違いありません。

そのため、アドラー心理学では、まず「他者は仲間である」という意識が大事だと説きます。

一方、「他者は敵である」という意識の中には、他人を信頼しないという認識が根底にありますが、この意識こそが人間関係を粗悪にする元凶なのです。

他人を信頼せず、他者は自分を騙し、おとしめる存在だという意識であれば、やはり対人関係や人間関係の構築はうまくいかず、したがって人生を不幸へと突き動かしてしまうことになるでしょう。

「他者は仲間である」と心の底から思うことで、他人を信頼する心が前提として生まれ、それが人間関係を円滑にすることにつながります。