人気のアドラー心理学は誰にでも当てはまる?

現代人のさまざまな悩みを解決するヒントがつまっているとして、アドラー心理学は世界中で大流行しています。

しかし、一方でアドラー心理学の矛盾や疑問点に対する意見も数多く出回っています。

アドラー心理学は万能の思想なのでしょうか?

ここでは、アドラー心理学への批判も紹介しつつ、上手なつき合い方をご提案いたします。

 

☆アドラー心理学にも批判はある

 

今でこそ、現代人に広く読まれているアドラー心理学ですが、アドラーが生きている当時には大衆に知られることはありませんでした。

1870年生まれのアドラーは心理学の権威、フロイトに師事していましたが、フロイトの心理学を機械的だと感じるようになり、より人間の感情に根差した独自の心理学を発展させるようになります。

しかし、フロイトの心理学が強く受け入れられていた学界からは、アドラーの思想はむしろ異端だったのです。

また、現代でもアドラー心理学への反対意見は存在します。

例えば「全ての悩みは人間関係の悩みである」というアドラーの言葉ですが、趣味の悩みなどはこれに当てはまりません。

それにトラウマに対するアドラーの考えも「トラウマを全否定している」という批判が上がりました。

よく読むと、アドラーはトラウマを全否定しているわけではないことが理解できますが、アドラー心理学は解釈次第で、極論を言っているように見えなくもない学問なのです。

 

☆不幸は全部自分のせい?

 

アドラー心理学で、万人に当てはまるわけではない言葉として、「辛いのは自分でその状態を選んでいるからだ」というものが挙げられるでしょう。

不幸は降って沸いてくるものではなく、自分の動き次第でどうにでもなるものだと、アドラーが説いた言葉です。

確かに、仕事や恋愛で一時的に気分が落ち込んでいる人には、勇気を与えてくれる言葉です。

しかし、世の中には自分のせいとは言い切れない不幸も存在します。

例えば、病気です。

どんなに健康に気をつかっていても重病になってしまう人はいます。

そして、そんな人の不幸は「自分で選んでいる」とは言えないでしょう。

この他にも、社会生活では防ぎようのないトラブルは数多く存在します。

そして、その全てにアドラー心理学が解決策を提示することは難しいでしょう。

 

☆アドラー心理学は自己啓発本とはちがう!

 

しかし、ここで我々がつい忘れてしまっていることがあります。

世の中にはアドラー心理学に基づいた自己啓発本が数多く存在し、多くの現代人の心の支えになっていることは事実ですが、アドラー心理学そのものは自己啓発本ではなく、学問であるという点です。

アドラーは心理カウンセラーではなく心理学者であり、彼の目的は人の心の働きを解き明かすことにありました。

よって、アドラーの言葉の全てをビジネスや恋愛に置き換えても、必ずしも当てはまる言葉ばかりではないのです。

また、アドラー心理学が登場した時代と現代との時代の違いも考えるべきでしょう。

アドラーが活躍した20世紀初頭から、すでに100年が経過し、文化も科学も大きく変化しました。

そして、それに伴い、人間の価値観や倫理観も移り変わっています。

100年前には有効だった思想も、現代で同じように有効だとは限らないのです。

このように、アドラー心理学を読めば、人生の問題はなんでも解決する、と思い込まないほうが賢明です。

しかし、その一方で、これだけアドラー心理学が広まったのは、現代を生きる人々にとっては深く納得できる部分が多い思想であることの証明でもあります。

アドラーの言葉を鵜呑みにするのではなく、自分自身に向き合うきっかけとして触れてみてはいかがでしょうか?

そこから問題解決のヒントが得られることを願っています。