手軽な文庫でアドラー心理を学ぶならこの本

20世紀を代表する心理学者の1人であるアルフレッド・アドラー。

日本では長らく無名でしたが、彼の打ち立てた「アドラー心理学」がビジネスや教育、育児といった日常の様々な場面で活用できるとあって近年注目を集めています。

様々な関連本が発売されており、その概要や具体的な実行策を知るのには苦労しませんが、いきなり分厚い専門書を購入するのはちょっと躊躇しますよね。

そこで今回は、持ち運びにも便利な文庫本でオススメの3冊をご紹介します。

 

☆『嫌われる勇気』岸見一郎・古賀史健

 

2013年に出版され、100万部を超えるベストセラーとなり日本にアドラー心理学ブームをもたらしたこの本ですが、文庫版も登場しています。

この本は日本のアドラー心理学研究の権威である岸見一郎氏と、岸見氏の著作を読みアドラー心理学に傾倒した古賀史健氏によって出版されました。

内容は悩み多き“青年”と京都在住の“哲人”の2人による対話形式で進んでいきます。

青年の相談事に対し、アドラー心理学を用いてどのように解決策を実行していくか、ということを哲学者が詳しく説明していきます。

この“青年”はアドラー心理学を学び始めた在りし日の著者2人の姿でもあり、アドラーの示す理論に対する疑問を次々に“哲人”に向けていきます。

読者の頭に浮かぶであろう様々な「?」を解消しながら話が進んでいくので、アドラー心理学に初めて触れるという人でもわかりやすい内容になっています。

またアドラー心理学の指南書であると共に悩める青年の成長物語でもあり、「青春文学」ともいえる側面も持ち合わせています。

「堅苦しい学術書は苦手・・・」という人でもとっつきやすい本ではないでしょうか。

 

☆「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣『働く人のためのアドラー心理学』岩井俊憲

 

著者の岩井俊憲氏は、早稲田大学卒業後外資系の企業で働くバリバリのサラリーマンでした。

しかしアドラー心理学に出会い、ビジネスの現場でその理論を活用すべく様々なセミナーや研修、カウンセリングを行ってきました。

本書はそんな岩井氏が、「働く人にこそ知って欲しい」というアドラー心理学の様々な要素を紹介し、そしてそれを仕事や日常生活で実践できる8つの習慣に落とし込んだ内容になっています。

例えばアドラー心理学には「目的論」という考え方があります。

これは「原因」によって「結果」がもたらされるのではなく、「結果」のために「原因」を作り出している、という理論で、アドラーはこれが人間の行動全てに当てはまるといいます。

「頭が悪いから、良い就職はできない」と考えるのは原因論であり、これを目的論的立場から言えば「良い会社に入るための努力をしたくないから、頭が悪いと思い込んでいる」となります。

人の頭の中には意図的であるかはともかく「目的」があり、その目的を達成するために適当な「原因」を作り出しているのです。

うまくいかない原因を「○○のせいだ」と決め付けるのは簡単ですが、それでは何の解決策にもなりません。

この本ではこのような困難に対し、アドラー心理学的立場からどのように対処していくのか、という点が著者の経験を踏まえて書かれています。

 

☆『アドラー流人をHappyにする話し方』岩井俊憲

 

アドラー心理学において、人間が幸福感を得るためには「共同体感覚」という概念が何よりも大事だと定義されています。

個人は全体の一部であり、全体に対して何らかの働きかけをすることで“仲間意識”を持つ、というのが共同体感覚であり、その規模は学校や職場に留まらず、宇宙にまで広がっていくとアドラーは考えています。

そしてその共同体感覚を得るためには他人への「貢献」が不可欠です。

貢献する、とはすなわち他者を仲間として認識し、自分のためだけでなく仲間の利益のために行動する、ということです。

そしてこの本の中では他者に対する言葉遣い、話し方をちょっと意識することでその「貢献」を実践していこう、という内容になっています。

“言霊”なんて言葉が示すように、言葉にはパワーがあり、同じ内容を伝えるのでもその伝え方によって相手の受け取り方は変わります。

1つ1つの言葉の意味を吟味し、うまくコントロールすることで他者と良好な関係を築いていくための道標となる一冊です。